本当に儲かるなら自ら事業を行う
起業を志す際、FC(フランチャイズ)は非常に魅力的に映ります。確立されつつあるブランド、つくり上げられたオペレーション、そして「未経験でも可能」という甘い響き。ビジネスの本質をよく考えてみること。そうすれば、一つの真実が考えられます。
「もしそのビジネスが、誰がやっても100%確実に、莫大な利益を生むのであれば、なぜ本部は他人にその利益を分け与えるのか?」
これって本質だと思いませんか?自分たちでやるよりも、他人にやらせた方が「本部にとって」都合が良い理由があるからです。そのあたりを私の見解で書いてみます。
1. 売上の天井が見えた瞬間に「切り売り」が始まる
本部が直営店でビジネスを始めたとき、最初は順調に利益が上がります。しかし、どんなに優れたモデルでも必ず「成長の鈍化」や「売上の天井」がやってきます。あるいは、市場が飽和し始める兆候を、現場を握る本部は誰よりも早く察知します。
ここで本部は戦略を切り替えます。
「自社でリスクを背負って店舗を増やす」フェーズから、「看板を貸して手数料を取る」フェーズへの移行。
自社で展開すれば売上はすべて自分たちのものですが、同時に赤字リスクも100%背負います。一方でFC展開に切り替えれば、現場の売上が多少下がろうが、本部は「ロイヤリティ」という形で確実に利益を吸い上げることができます。FC展開とは「事業リスクの外部化」なんです。
2. 「面倒なこと」を加盟者に押し付ける構造
ビジネスにおいて最もコントロールが難しく、コストがかかるのは何でしょうか? はい、「現場の管理」です。
- 店舗展開の不動産リスク:・・・良い立地を確保するための膨大な保証金と家賃。
- 人件費の増大:・・・最低賃金の上昇や社会保険料の負担。
- 労務管理・・・24時間365日のシフト調整、バイトのバックレ、ハラスメント対応など。
FC本部は、これらの「法的リスクの高い業務」をすべて加盟オーナーに押し付けます。本部は綺麗なオフィスで数字を管理し、現場のオーナーは深夜に欠員が出れば自らシフトに入り、サービス残業で利益を捻出する。この構造をよ理解、検証せずに参入してしまう。待っているのは「経営者」という名の「高給ではない重労働者」となってしまいます。
3. 本部の真の狙いは「加盟金」という無利子・無担保の資金調達
多くのFC本部のキャッシュフローを支えているのは、毎月のロイヤリティ以上に、新規加盟時の「加盟金」です。
数百万から数千万円という加盟金は、本部にとっては実質的に「返済不要、利息なし、担保なし」の資金調達です。この資金を使って本部はさらに広告を打ち、次の加盟者を探します。極端な話をすれば、店舗が黒字になろうが赤字になろうが、加盟者がハンコを押して送金した瞬間に本部の「勝ち」は確定しているのです。
4. 「手厚いフォロー」という幻想
募集要項に必ず書かれている「本部による手厚いサポート」。これは嘘ではないかもしれません。でも「期限付き」であることを理解しておくべきです。
- 初期段階:・・・本部も実績が欲しいため、オープン前後は熱心に指導します。
- 中期段階:・・・加盟店が増えるにつれ、本部のスーパーバイザー(SV)一人あたりの担当件数が増大。
- 末期段階:・・・本部自体が人材不足に陥り、SVは単なる「集金係」や「報告書作成係」になってしまいます。
そもそも、SVといっても入社数年の若手社員であることも少なくありません。一大決心で起業するあなたに対し、雇われの若手社員が一体どのような「経営指導」ができるのかが不思議でなりません。 結局、本当のトラブルが起きたとき、彼らは「契約書にこう書いてあります」と繰り返すだけの存在になります。
5. 数字で見るFCの現実・・・撤退率の不都合な真実
FCの成功率が高いというデータがよく引用されますが、そこにはカラクリがあると考えてます。 廃業届を出さずに「本部が直営店として引き取った」場合や、「別のオーナーに二束三文で譲渡された」などの場合、統計上の「撤退」には含まれないケースが多いのです。
実際には、投資した設備資金を回収できないまま、借金だけを残してひっそりと消えていくオーナーが多いのも事実。特に流行り廃りの激しい飲食や買取ビジネス、家事代行などは、参入障壁が低い分、飽和するのも一瞬です。
6. 「簡単に儲かる」は、あなたから「簡単に奪う」ための言葉
「誰でも」「簡単に」「初月から黒字」。 この言葉は、ビジネスの世界において、「カモを探しています」というサインです。
本当に簡単に儲かる仕組みを開発したなら、私なら誰にも教えずに銀行から融資を受けて自分たちだけで全国展開します。利益を独占できるから銀行も喜んで融資してくれます。それをわざわざ広告費をかけてまで見ず知らずのあなたに勧めるのは、「あなたを儲けさせるため」ではなく、「あなたに投資をさせて、自分たちが確実に儲けるため」です。
7. 現代の雇用不安が招く「焦燥感」という最大の落とし穴
見落としてはいけないのが、取り巻く社会環境の変化です。 現在、AIの急速な進化により、これまでの「当たり前」が崩れ去ろうとしています。大企業ですら従来型の雇用を維持することが困難になり、早期退職の募集や、中小企業の倒産・廃業が相次いでいます。
こうした先行きの見えない不安の中にいると、人はどうしても「手っ取り早く、少しでも収入の良いビジネス」にすがりたくなります。
- 「今の会社にいても先がない」
- 「せめて自分の力で稼げる仕組みを持っておきたい」
- 「退職金を元手に、安定した看板で勝負したい」
こうした切実な思いや焦燥感は、時として「そんなに上手い話はない」という商売の本質を曇らせてしまいます。FC本部の放つ「未経験でも高収益」「AIに負けないストック型ビジネス」といった甘い言葉は、まさにこの「人の心の隙」を狙い撃ちしているのです。
時代の転換期だからこそ、一度立ち止まってよく考えてみてください。 AIが仕事を奪い、企業が人を手放す時代において、本気で儲かる「金の卵」を他人に安売りする組織がどれだけ存在するでしょうか。
自分の足で立つ勇気を
FCという「借り物の城」は、ものすごく心強く見えますが、嵐が来たときに守ってくれるのは自分ではなく、城主である本部だけです。
「簡単に儲かる」というフレーズに惑わされず、そのビジネスの構造を徹底的に俯瞰すること。雇用が不安定な時代だからこそ、他人の用意した罠に飛び込むのではなく、自分のスキル、自分の知恵、そして自分の責任でコントロールできる「真の事業」を構築してください。
本当の自立とは、誰かの看板を借りることではなく、自分自身の足で猛汗をかきながら進むこと。その経験が、これからの時代を生き抜く唯一の武器になるはずです。
起業家としてどう振る舞うべきか
FCビジネスそのものを全否定するつもりはありません。仕組みを利用して複数のメガフランチャイジーとして成功している方もいます。そして何かしらのビジネスで成功している方が多いのです。
これから起業する方、事業拡大を狙う社長に伝えたいのは、
- 仕組みを疑う・・・ そのビジネスが本当に儲かるなら、なぜ本部は直営でやらないのか?
- 労働の質を見る:・・・自分がやりたいのは「経営」なのか、それとも「現場管理の代行」なのか?
- 独自性を磨く・・・他人の看板に依存するのではなく、小さくても自分の看板で、自分でコントロールできる利益構造を作る。
「楽な道」には、必ずと言っていいほどお金を搾り取るゲートが設置されています。 本当に儲かる事業は、自ら汗をかき、リスクを取り、試行錯誤の末に自分たちだけで独占するものです。FCという甘い言葉に投資する前に、その資金で「自分にしかできない価値」を創り出すことはできないか、もう一度俯瞰してみてください。
起業でいきなりFC参入は、私はおすすめできません。ビジネスは小さく始めて大きく育てながら自ら歩みを進めていくことは、大切だと思いますけどね。参考にしてみてくださいね(^_-)-☆