能力の問題ではなく、「立場」と「経験」の違いなんです
今日は、前回のブログ(112回目/CLOがいる会社といない会社)に続く内容になります。
〇 「うちには物流担当者がいるから大丈夫」
多くの中小企業で社長さんから聞く言葉です。確かに、・倉庫業務を把握している・配送手配も問題なくこなしている・日々のトラブルにも対応している。優秀な物流担当者は、どの会社にもいます。
それでもなお、物流が経営課題として解決されない会社が多い。
その理由は、担当者の能力不足ではありません。
〇 問題は「役割の限界」にあります
社内の物流担当者は、本質的に次の立場に置かれています。
- 社内ルールの中で動く
- 上司や他部署に配慮する
- 業者との関係を壊せない
- 最終判断権を持たない
回す役割であって、判断する役割ではないのではないでしょうか。どれだけ優秀でも、この立場のままではCLOにはなれないと考えてます。
〇 CLOに求められるのは「調整」ではなく「意思決定」
CLOに求められるのは、
- 物流費は妥当か
- この条件で業者と組み続けるべきか
- どこまで荷主として要求すべきか
- どこで引くべきか
このようなグレーゾーンの意思決定ですね。
しかし社内担当者は、
- 判断をすると責任を負う
- 交渉で関係が悪化すると困る
- 「前例」を崩しにくい
という制約を常に背負っています。これは性格の問題ではなく、社内ポジションの構造的な問題です。
〇 決定的な違いは「交渉経験の質」
社内担当者とCLOの最大の違いは、交渉の量ではなく質です。
■ 社内物流担当者の交渉
- 既存業者との調整が中心
- 大幅な条件変更は難しい
- 「お願いベース」になりやすい
■ 物流代行会社経験者(CLO代行)の交渉
- 荷主側として要求を整理
- 業者の限界と本音を把握
- 条件・役割・責任を構造で交渉
同じ「交渉」でも、見ている景色がまったく違うと思いますよね。
〇 社内担当者は「守る人」、CLOは「成立させる人」
社内物流担当者は、
- 現場を守る
- 業務を止めない
- トラブルを収める
という役割を担っています。
一方CLOは、
- 利害の異なる関係者を成立させ
- 今のベストな状態を維持し
- 次のリスクを先読みする
全体を成立させる役割です。どちらが上、下ではなく、役割の違いなんです。
〇 社内担当者をCLOに育てるには「外の視点」が必要
「社内の物流担当者は、一生CLOになれないのでしょうか?」と質問されたことがあります。その答えは NO です。
ただし条件が。
- 社内の論理から一度外れること
- 業者側の視点を知ること
- 経営判断の場に同席すること
これを社内だけで経験するのは、ほぼ不可能です。
だからこそ、「外部CLO(物流代行会社経験者)が伴走し、判断軸と考え方を移植する」という形が、最も現実的だと考えています。
〇 「担当者がいるから安心」が、一番危ない
皮肉な話ですが、
- 担当者が優秀
- 現場が回っている
こうした会社ほど、物流の問題が表に出ません。
その結果、
- 判断基準が育たない
- 社長依存が続く
- 問題が起きた時に対応できない
という状態に。
〇 CLOは「代わり」ではなく「全体を見渡せる上位互換」
- 社内物流担当者は必要
- しかしCLOとは役割が違う
- 経営判断と交渉を担う存在が別に必要
そしてその役割を一時的に担い、社内に残すのがCLO代行の価値です。
物流担当者を否定するのではなく、物流担当者が力を発揮できる環境をつくる。
それが、これからの物流体制で必要になるのではないでしょうか。
参考にしてみてくださいね(^_-)-☆