マネジメント編シリーズ第6回(6-6)
「一人ひとりの自立が、組織のしなやかさをつくる
全6回にわたってお届けしてきた「これからの時代のマネジメント術」。
今回はいよいよ最終回。テーマは「ゆるくつながる組織の強さ」です。
「ゆるい組織」って聞くと、なんだかだらしない、まとまりがない、責任感が薄い。そんなネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。でも実はこれからの時代、「強い組織=ガチガチに管理された組織」ではないんです。
これからのマネジメントに必要なのは、自立したメンバーが、ゆるやかに共鳴し合う関係性。
言い換えれば、個が強くて、つながりが自然な組織です。
■ これからの時代は「個」が主役になる
テクノロジーの進化、働き方の多様化、副業・フリーランスの一般化。あらゆる要素が、「会社に依存しない働き方」を後押ししています。かつては「組織に溶け込む力」が重要とされました。
でもこれからは、「個が際立つ力」「自分で考えて動ける力」が求められます。
つまり、一人ひとりが自立した存在であることが、組織にとって最大の武器になるんです。
■ 「がっちり結びつく」より「ふんわりつながる」がちょうどいい
組織というのは、本来「ひとつのゴールに向かって協力し合う場」です。
協力=密着、ではありません。
例えるなら、強く結びついたロープよりも、柔らかくまとまったネットワークのような関係。それぞれが自分の軸を持ちつつ、緩やかにつながり、必要な時に力を発揮する。そんな組織こそ、変化に強く、持続可能な集団になります。
■ ゆるくても回る組織には「信頼」がある
「ゆるくつながる」と言っても、ただ放任しているわけではありません。
そこに必要なのは、信頼です。
- 相手に任せても、ちゃんとやってくれるという信頼
- 遅れても、理由があると理解できる信頼
- 困ったときは助け合える信頼
- 嫌なことがあれば、きちんと話し合える信頼
この見えない信頼があるからこそ、組織はルールや強制に頼らずとも動けるようになります。
■ ゆるくする=マネジメントを手放す、ではない
「ゆるくて大丈夫なの?」と思われがちですが、実はゆるさを成立させるには、高いマネジメント力が必要です。
- チーム内の関係性のバランスを感じ取る感性
- 介入すべきところと、任せるところの見極め
- 必要な時に手綱を引き、また自然に緩める判断力
- メンバー同士の関係に目を配る観察眼
マネジャーは「常に指示を出す人」ではなく、関係性の編集者としての立ち位置が求められます。
■ 自立したメンバーは、勝手に動いてくれる
「ゆるい組織」では、メンバーがそれぞれ考え、自分の判断で動きます。
これは一見、統率が取れていないように見えますが、実はとても理想的な状態。
- Aさんは、他の部署の困りごとに気づいて声をかける
- Bさんは、会社に必要な制度を自分で調べて提案する
- Cさんは、上司に言われなくても数字を見て改善策を考える
こういう動きが出るのは、「自分の判断で動いていい」という空気があるから。そしてそれを許容する「ゆるさ」があるから。
■ 「つながりすぎない」からこそ、長く一緒にいられる
人間関係でもそうですが、ガチガチに結びつくと、ちょっとしたことで摩擦が起きます。一方で、「いい意味で干渉しすぎない」関係は、長続きしますよね。
仕事も同じだと思いませんか。ちょうどいい距離感、ちょうどいいゆるさが、結果的にメンバーのパフォーマンスを高め、組織の寿命を延ばしてくれます。
■ ゆるさの裏にある「軸」が、組織の重力になる
注意が必要で、ただバラバラでは意味がありません。
ゆるくつながるには、共通の軸が必要です。
- 「どんな価値観を大切にする組織なのか」
- 「何のために集まっているのか」
- 「何を目指しているのか」
この共通の目的や行動指針があるからこそ、メンバーはそれぞれのやり方で、同じ方向に進むことができるんです。
■ これからのマネジメントは「引っ張らず、惹きつける」
最後に、この第6回のポイントをまとめます。
- 「ゆるくつながる組織」は、変化に強く、自走力がある
- ゆるさの中には、信頼と観察力が求められる
- 自立した個人同士が、必要な時に自然につながるのが理想
- 組織の軸があれば、強制しなくても同じ方向に進める
- マネジメントは、「引っ張る」から「惹きつける」時代へ
6回にわたってお届けしてきた「これからの時代のマネジメント術」、いかがでしたか?
これからの時代に必要なのは、「管理」ではなく「共鳴」、「正しさ」よりも「らしさ」、そして、「命令」ではなく「対話」。マネジャーの役割は、「人を動かすこと」から、「人が動ける土壌を整えること」へと変化しています。
ルールではなく、空気で動く。
組織に染めるのではなく、個性を生かす。
目標を共有するのではなく、共感を共有する。
そんな新しい時代のマネジメントを、これからも学んで行こうと思います。
参考にしてみてくださいね(^_-)-☆