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マネジメント編6回シリーズ(6-3)

「答えを与えない」マネジメントのすすめ

「これからの時代のマネジメント術」シリーズ、今回は第3回目。「正解がない時代に、どうやって部下に意思決定をさせるか?」についてです。

現場でこんな声を聞いたこと、ありませんか?

  • 「自分の判断で進めるのが怖いです」
  • 「どっちが正解か分からないので動けません」
  • 「上司の考えとズレたら怒られそうで

今の時代、どんな選択にも正解がなくなりつつあります。情報は多すぎるし、状況はすぐ変わる。
その中で「これが正解だよ」とはっきり言い切れるリーダーなんて、むしろ危うい存在かもしれません。

では、マネジャーはどうすれば良いのか?
鍵は、「部下に答えを教える」のではなく、「一緒に考える姿勢」を持つことです。

 「正解を求める」習慣が、思考を止める

学校教育や日本の社会って、ずっと「正解がある前提」で動いてきました。

  • テストには必ず答えがある
  • 上司の言うことが正しい
  • マニュアルに従うのが無難

でも、ビジネスの現場は・・・。特にこれからの時代は「どっちに進んでもOK。ただし、選んだ後にどう動くかが大事」という世界なんです。それなのに、「正解を探そうとする」習慣が抜けない人が多い。

だから「正解がわからないから止まる」人が増えてしまうんですね。

「上司の顔色を見て判断」が一番危ない

よくある光景として、「上司がどう思うか?」を先に気にする部下がいます。でもこれは、決して忠実なだけではなく、意思決定を放棄しているとも言えます。

・「言われたとおりにやりました」
・「自分の判断じゃないんで

この状態って、責任も主体性も薄まってしまいますよね。
大切なのは、「自分で選び、責任を持って動く」感覚を育てることです。

答えを教えるのではなく、問いを返す

意思決定力を育てるために、マネジャーが意識したいのは、「答えを与えないこと」です。え? 放任主義?と思うかもしれませんが、違います。

「あなたはどう考える?」
「この判断をする理由は?」
「その選択をした場合、どんなリスクがある?」

こういった問いを投げかけて、考えるプロセスを言語化させることが大事なんです。このプロセスによって、部下は自分の中に「判断の軸」を作っていくことができます。

そして、その軸が少しずつ自信に変わっていく。部下の自信は、自ら考え行動した結果からしか、本当の自信はつきません。

判断力を育てる3ステップ

部下に意思決定力をつけさせるには、以下のような段階を意識すると効果的だと思います。

STEP1】一緒に考える

最初はマネジャーが伴走者として、「どう思う?」「なぜそう考えた?」と掘り下げていく。ここでは答えを出すことより、考える過程を共有することが目的です。

STEP2】任せてみる

次は、小さな判断を任せてみる。成功・失敗より、「自分で選んだ」という経験を積ませることが重要です。ミスしても、マネジャーが怒らない”“責めないが大前提。

STEP3】結果の振り返りを一緒にする

判断の結果どうだったか? というフィードバックの時間をつくる。「どうすればもっと良くなった?」「今回の判断から何を学んだ?」と、未来に活かす視点を持たせましょう。

この3ステップを繰り返すことで、部下の中に「選んで良いんだ」「失敗してもいいんだ」という安心感が育ちます。

それが、意思決定の行動力へとつながっていきます。

正解を持たない上司が、信頼される

昔は「上司=答えを持っている人」でした。
でも今は、「上司=一緒に考えてくれる人」のほうが信頼されます。

「俺も正直、どっちが良いか分からない。だから一緒に考えよう」
そんなふうに弱さを見せる勇気が、むしろ部下の心を開きます。

完璧な上司なんて、もう求められていないんです。
それよりも、一緒に悩んでくれる人がいる安心感の方が、よほど強いリーダーシップになる時代です。

「問いかけリスト」が大切になるかも

部下の意思決定を引き出すために、こんな問いかけをぜひ使ってみてください。

  • 「まず、自分ならどうすると思った?」
  • 「その判断を選んだ理由を3つ挙げてみて」
  • 「この判断にリスクはあるとしたら?」
  • 「他の選択肢はあった? なぜ選ばなかった?」
  • 「仮に逆の立場だったら、どう感じる?」

これらの質問は、部下の思考を深めるのにとても効果的です。そして考えた経験こそが、何よりの財産になります。

 

正解が見えない時代。だからこそ、「自分で選ぶ力」を育てることが、マネジメントの本質になってきました。

そして、その力を引き出す鍵は、「問いかけ」と「信じる姿勢」です。

次回の第4回では、「評価」ではなく「承認」で人は動く、というテーマで掘り下げていきます。

お楽しみに。

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