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忙しさでつい忘れてしまう大切なこと

忙しいからこそ、「ありがとう」が組織を変える。

マネジメントに携わっていると、日々の業務は本当に多忙です。会議、数字の確認、クレーム対応、部下のフォロー、経営層への報告…。今回は、お金のかからないマネジメントをよくする方法を書いてみます。

気がつけば一日があっという間に終わり、「今日も褒めるどころじゃなかったな」と反省することもしばしばではないでしょうか?でも実は、この「褒めるどころじゃない」という感覚こそが、組織を弱らせる大きな落とし穴

なぜなら、人が最も欲しているのは「承認」であり、その最もシンプルな形がありがとうの5文字だからです。

■「ありがとう」の力は侮れない

心理学でも、行動科学でも、人は承認によってモチベーションが高まることが証明されています。

  • ある社員が残業して資料を仕上げたとします。
    「助かった、ありがとう」の一言があれば、疲労感の中に充実感が残ります。
  • 部下が挑戦的な提案をしたとします。
    「いいね、ありがとう」と受け止めることで、次の挑戦意欲につながります。

逆にこの言葉がないと、どんなに頑張っても「評価されていない」「意味がない」と感じ、やる気を失ってしまうのです。

「ありがとう」は、コストゼロでできる最高のモチベーションマネジメント。にもかかわらず、多忙なマネージャーほど後回しにしてしまいがちです。マネージャーじゃなくても経営者も。

■忙しいマネージャーが陥る罠

なぜ「ありがとう」が言えないのか。理由はシンプルで、「言わなくても伝わっているだろう」と思ってしまうからです。

じつは、私も前職時代のマネージャー職のときは、そうでした。「わざわざ言わなくても、みんな分かってるよね」と。しかし現場の声を聞くと、「感謝してくれてるのは分かるけど、口にしてもらえないと正直寂しい」というのが本音でした。

つまり、感謝の気持ちは心の中にあるだけでは無効なのです。伝えなければ存在しないのと同じ。

■「ありがとう」は心理的報酬

給与や賞与といった「物理的報酬」は生活の支えになりますが、人が成長し続けるためには「心理的報酬」が不可欠です。「ありがとう」は、その中でも最も効果的で、かつ再現性の高いツールです。

しかも、良いニュースがあります。心理的報酬には使えば使うほど増えるという性質があります。
お金と違って、どれだけ渡しても減ることはありません。むしろ、言えば言うほど信頼関係が積み上がり、組織の雰囲気は温かくなります。

■ありがとうが生む好循環

「ありがとう」が口癖の組織には、次のような変化が起こります。

  1. 人が自発的に動くようになる
    「やってよかった」と感じるから、次の行動に自らつながります。
  2. 失敗を恐れにくくなる
    挑戦の結果よりも姿勢を評価してくれると分かるからです。
  3. 信頼関係が深まる
    上司も部下も「自分は認められている」と実感できます。
  4. 心理的安全性が高まる
    安心して意見やアイデアを出せる文化が生まれます。

つまり「ありがとう」は、単なる礼儀ではなく、組織の成長を加速させる立派な経営資源なのです。

■3つの工夫

では、多忙なマネージャーがどうやって「ありがとう」を習慣化できるのか。
私自身が取り入れて効果を感じた3つの工夫をご紹介します。

  1. 一日3回ルール
    意識的に、必ず3回は「ありがとう」を口にする。朝礼、メール、帰り際など、場面は自由。
  2. 言葉に感情を乗せる
    「ありがとうございます」より「本当に助かりました、ありがとう!」と具体性を持たせる。
  3. 小さなことに気づく力を磨く
    大きな成果だけでなく、日常の些細な配慮に目を向けて感謝を伝える。

これだけでも、組織の雰囲気は見違えるほど変わります

■忙しさの中で忘れてはいけないこと

マネジメントの現場は忙しく、つい数字やタスクに追われがちです。しかし、人が動かすのは数字ではなく心です。

その心を動かすもっともシンプルな方法が、「ありがとう」の5文字

  • 成果に感謝する
  • 挑戦に感謝する
  • 存在そのものに感謝する

その積み重ねが、組織を強くし、人を成長させます。

最後に、私自身への戒めも込めて一言。

「マネジメントに必要な魔法の言葉は、MBAの専門用語でも最新のフレームワークでもない。ありがとうの5文字である。」

今日も、皆さんと共にこの言葉を大切にしていきたいと思います。参考にしてみてくださいね(^_-)-☆

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