清掃をおろそかにした店舗が陥った落とし穴
こんにちは。店舗運営のアドバイスを少しブログに残しておきます。
現場でよく見かける「売上至上主義」が引き起こす盲点と、そこから脱却するための本質的な店舗改善についてです。
◆ 売上が下がりはじめた、でも理由がわからない
とある飲食店のオーナーからの相談です。
「売上が少しずつ落ちてきているんですが、料理の味も接客も変えていない。広告も出しているのに、なぜでしょう?」
後日、食事のついでに、実際に現地に足を運んでみると、原因はすぐにわかりました。入り口のガラス戸には指紋がベッタリ。床には髪の毛やゴミが散らばり、トイレには前の客の水滴がそのまま。厨房は忙しさから物が散乱し、ホールのスタッフも常にバタバタしています。
「これはまずいな」と・・・。そこそこお客様は入っているのに。
◆ 清潔感の欠如は「無言の拒絶」を生む
人間の感覚はとても繊細です。とくに初めて訪れる店舗では、「視覚」と「嗅覚」が第一印象を決定づけます。
どんなに美味しい料理を出しても、どれほど笑顔で接客しても、店内が汚れていれば「もう来たくない」という判断をお客様は無意識に下します。飲食店だけでなく店舗系ビジネスは清潔さは必須。
清掃が行き届いていない=「この店は私を大切にしていない」と感じる側面があります。
現代のお客様はSNSや口コミを通じて、ネガティブな感想を簡単に発信します。「料理は美味しいけどトイレが汚かった」と書かれたら、それだけで来店候補から外される可能性があるのです。
◆ 売上重視が“忙しさ”を正当化してしまう
売上を伸ばしたい。これは、経営者として当然の想いです。ですが、その想いが過度になると「掃除に時間を割くくらいなら、少しでも多くお客様を回そう」という思考に偏ります。
実際、先ほどの飲食店でも「掃除は閉店後にまとめてやっている」「忙しい時間帯にいちいち拭き掃除なんてできない」といった声がスタッフから聞かれました。忙しさを理由に“当たり前のこと”が後回しになってしまっていたのです。
◆ 思い切って「売上を捨てる決断」をした結果
私の提案は・・・。
「この1ヶ月、あえて売上を捨ててでも、徹底的に店舗清掃とオペレーションの見直しに時間を使いましょう」と。
最初、戸惑っていました。
「売上を落とすなんて本末転倒では?」と。
しかし、最終的には「このまま右肩下がりが続くほうがリスクだ」と納得され、実行に移しました。
後日、結果に驚いていました。
・まず常連客から「最近、店がきれいになったね」との声が届く
・Googleレビューや食べログなどの口コミ評価がじわじわ上がる
・「初めて来たけど、清潔で居心地がいい」と新規のお客様が増える
・スタッフの動きが整理され、ホールと厨房の連携もスムーズに
・月末には、客単価とリピート率が改善し、売上もやや回復
掃除という「地味なこと」に時間を割いた結果、お客様の「また来たい」をつくることができたのです。
◆ 「店舗=商品」であるという本質
多くの店舗オーナーが忘れがちですが、店舗そのものが商品です。
料理や商品はもちろん大切です。しかし、お客様がまず最初に触れるのは「空間」であり「匂い」であり「空気感」です。それが清潔で心地よければ、心理的な安心が生まれ、「この店は信頼できる」という評価に繋がります。
清掃は「コスト」ではありません。「売上を生み出す投資」です。
◆ 清掃を文化にするための3つのステップ
私が実際に店舗改善で取り入れている清掃のルールをご紹介します。
① 清掃を「業務」から「習慣」に変える
開店前、営業中、閉店後に「何を、誰が、いつ、どのように」やるかを明確にするチェックリストを作ります。マニュアルではなく、“生活習慣”として染み込ませます。
② 「気づける人」を育てる
スタッフが「汚れていることに気づかない」状態では清掃は続きません。毎日の朝礼で、良かった点・悪かった点を共有し、「観察力」を育てていきます。
③ 清掃の成果を“可視化”する
「清掃前」「清掃後」の写真を定期的に掲示する、スタッフに感謝を伝える、SNSで美しい店舗の様子を発信するなど、成果が目に見える工夫をすると、モチベーションが上がります。
◆売上は「結果」、清潔感は「条件」
売上は「お客様がまた来たいと思った結果」に過ぎません。そして、その前提条件は「快適な空間」です。「今の売上を守る」ことに躍起になるあまり、お客様の信頼を削ってしまっては、本末転倒です。だからこそ、短期的に売上が落ちても「清掃に力を入れる」ことは、将来への最良の投資になります。
私の現場経験では、清掃と売上には確かな相関があります。もし、最近売上に伸び悩んでいるなら、「床の隅」や「トイレの棚」まで目を凝らしてみてください。
そこに、お客様の本音が隠れているかもしれません。
ご相談・ご質問があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
あなたのお店が「また来たい」と言われる場所になりますように。今回は飲食業の相談で書きましたが、法人相手のビジネスも事務所の清潔さは必須です。掃除は外注しても良いのですが、資金が潤沢にある大企業の場合のみです。資金力が乏しい中小企業は、掃除を行うことを業務の一環にして、評価に落とし込むべきなんですが・・・。
参考にしてみてくださいね(^_-)-☆