価格競争からの脱皮
「この商品が好きだから」「この会社を応援したいから」・・・
そんな気持ちで商品やサービスを選んでくれるお客様がいたら、どれほど心強いことでしょうか。
今の時代は、かつてないほど情報があふれ、物やサービスの価値が比較されやすい時代です。その結果、多くの企業が「価格」での差別化に追い込まれています。
本当に持続可能な経営をしたいなら、目指すべきは「価格競争に巻き込まれない強いブランド」です。そしてその核となるのが、事業の“ファン”を育てることなのです。
今回は、「なぜファン作りが大切なのか」「どうすれば価格競争から脱出できるのか」という視点で、独自な視点で5つの項目で書いてみます。
1.ファンは“親身になって”購入してくれる
一般的な「顧客」は、価格・利便性・品質などの比較によって購入の判断をします。一方で「ファン」は、それに加えて“感情”で動きます。
「このブランドの想いに共感している」
「この会社の姿勢が好きだ」
「この人から買いたい」
そんなファンは、多少価格が高くても、少し手間がかかっても、あなたのサービスや商品を選んでくれます。しかも一度きりではありません。繰り返し、何度も、応援するように購入してくれるのです。
さらに、ファンは周囲にもその魅力を自然に伝えてくれます。いわば“自走する営業マン”でもあるのです。広告を出さなくても、新たなファンを生む土壌をつくってくれる存在。それがファンなのです。
2.心地よい売り方がしやすくなる
価格競争に巻き込まれている企業に多いのが、「売る側も買う側も疲れてしまう」状況です。
値下げを繰り返し、キャンペーンを乱発し、赤字覚悟のセールでようやく顧客をつなぎとめる。その結果、利益は薄くなり、社員も疲弊し、ブランドの価値がじわじわと下がっていく——。これはまさに“消耗戦”です。ネット通販でいうとA社やR社。セールまで購入を消費者は待つ傾向があります。これは、ファンというより便利な通販です。
しかし、ファンがいるビジネスは、その真逆の構造になります。
無理に値下げしなくても、お客様が来てくれる。セールをしなくても、「また買いたい」と言ってくれる。強引な営業をしなくても、喜んで話を聞いてくれる。
このように、自然で、心地よく、気持ちの良い売り方ができるようになるのです。
経営者自身が「売ること」に追われるのではなく、「伝えること」に専念できるようになる。これは、ビジネスの精神的な健やかさにおいても、とても大きな変化です。
3.これからの情報化社会では、“どう集めるか”が命綱
インターネット、SNS、動画配信、口コミサイトなど。
現代は情報発信の手段があふれています。これは一見、チャンスのように見えますが、実は「選ばれにくい時代」でもあります。
どんなに素晴らしい商品・サービスでも、“見つけてもらえなければ、存在していないのと同じ”。
だからこそ、今後の経営において大切なのは、「どうやって集客するか」の設計です。ただ広告を出すだけでは足りません。検索されやすくするだけのSEO対策でも足りません。
そこで重要になるのが、ファンの存在です。
ファンがいれば、彼らがSNSでシェアし、口コミを書き、周囲に薦めてくれます。そして、その一つひとつの“個人的な発信”が、他の誰かの心を動かすきっかけになります。
情報の信頼性や重みが“企業発信”から“個人発信”へと移行している今、ファンの声は何よりの「証明」であり、最強の「広告」なのです。
4.「誰かが買うか」が決定的に大切な時代
「商品に自信がある」
「品質には絶対の自負がある」
「サービスは業界トップクラスだ」
こうした自信があるのに、なかなか売れない…。そんな経験をしたことがある経営者は少なくないでしょう。
なぜでしょうか?
それは今、「良いものを作れば売れる」時代ではないからです。
「誰かが買ったことがあるか」「誰かに推されているか」が、選ばれる理由の大きな要素になっているのです。
Amazonのレビュー、YouTubeの紹介動画、Instagramでの投稿・・・どれも「他の誰かが買って良かった」という証拠です。このような時代において、ファンの存在は強烈な“社会的証明”となります。
「多くの人が支持している」「口コミで評判がいい」という状態は、それ自体が商品の“価値”を引き上げるのです。「誰が買ったか」が、その後の“誰が買うか”に直結する時代。ファンを持つ企業こそが、先に信用を得ていけるのです。
5.ファン作りは、経営の本質
「ファンの力」について書いてきましたが、単なるマーケティング戦略ではありません。
ファン作りとは、経営そのものの本質を磨くことでもあります。
・誰のために事業をやっているのか?
・自分たちの価値は、どこにあるのか?
・お客様にどんな感情を届けたいのか?
こうした問いに正面から向き合い、そこに誠実に取り組んでいくことが、ファンを生む土壌になります。
そして、ファンがいる企業は、時間が経つほど強くなります。新商品や新サービスを出しても、最初から信頼してもらえる。
トラブルがあっても、まず耳を傾けてもらえる。
価格ではなく、姿勢で選ばれる。
それこそが、「価格競争からの脱皮」にほかならないと思いませんか?
■これからの経営者に必要なのは「ファンを育てる視点」
今、ファンを持たない企業は、どうしても価格や条件で勝負せざるを得ません。ですが、価格で勝っても、利益は残らず、次の投資もできず、いずれはジリ貧になります。
一方、ファンを持つ企業は、「共感」で選ばれ、「信頼」で支持され、「応援」で継続的に売れていきます。
中小企業であっても、個人事業であっても、今から始められることはたくさんあります。
・SNSで日々の想いや取り組みを発信する
・顧客との小さな会話を大切にする
・商品・サービスに物語性や背景を込める
・購入後のフォローや手紙を丁寧に行う
こうした積み重ねが、確実に「ファン」を生み出し、事業を根底から強くしてくれるはずです。
価格競争から抜け出し、あなたの事業に惚れてくれる“ファン”を育てていきましょう。
「売上」ではなく、「信頼」が積み上がっていく経営に育てていく土壌が、これからの経営には必要だと考えています。
参考にしてみてくださいね(^_-)-☆