それでは、クセを直すべきか、放置するべきか?ここで、コンサルタントとしての視点から、クセを「直すべき場合」と「見守るべき場合」について考えてみます。
〇 直すべきクセとそのタイミング
経営者の方が抱えるクセの中には、業績に悪影響を与えかねないものもあると考えてます。たとえば、過度に自分のやり方にこだわりすぎるクセです。自分の経験則だけに頼り、データや周囲の意見を無視する姿勢が強すぎると、新しい変化に対応しづらくなり、市場の変化についていけなくなる可能性があります。特に、これまでの成功体験に固執してしまうと、業界の流れが見えなくなり、最終的には経営を不安定にするリスクも生まれます。事業が上手く軌道に乗ると、そのことが成功体験として残ってしまい、社長自身の成長を怠る方です。
このような場合は、柔軟性を持って状況に応じた判断をできるようになるため、クセを直すべきだと考えてます。過去の成功に執着するあまり顧客や従業員の声が届かなくなっている経営者には、まず小さな変更から始めて「新しいやり方」に慣れてもらうことを提案します。状況に応じた変化を取り入れる姿勢は、経営を長期的に支える重要なスキルです。
変化を取り入れる体質にしていくのには、社長自身の習慣を変化させるのも良い方法なんですが、習慣については、他のタイミングで書きます。
〇放置すべきクセとは?
一方で、経営者のクセがその会社の独自性やカラーの源となっている場合もあります。たとえば、経営者の強い信念や情熱が従業員の士気を高め、組織としての一体感を生んでいるケースです。この場合、むしろそのクセが組織にとってプラスの影響を与えています。過剰にクセを抑えようとすると、会社のカラーが薄れてしまい、従業員や顧客からの支持を失うリスクも考えられます。こういう経営者の方は特に中小企業においては多いのではないでしょうか。
例えば、社員と距離が近く、あえてフランクな関係を保つ経営者の姿勢が、社員の信頼を集めている場合など。こうした場合、形式ばった経営スタイルに変更することは、逆に会社の魅力を損なう結果を生みかねません。コンサルティングを通して、このような場合には「クセ」を尊重し、経営者らしさを活かしたマネジメントが続けられるようアドバイスしています。素敵な社長さんですね。
〇クセを直すための心構えとサポートの重要性
クセを直すためには、経営者自身が「変わりたい」と強く思うことが必要です。どれほど的確なアドバイスを受けても、経営者本人が変わる意欲を持っていなければ、根本的な改善は難しいものです。特に、長年にわたって培われたクセは、日常の習慣に染み付いていますから、一度や二度のアドバイスで簡単に変わるものではありません。
たとえば、クセを改善するために段階的な目標を設けたり、小さな成功体験を積み重ねていくことも効果的です。こうしたプロセスを通じて、徐々に経営者が新しい習慣を取り入れ、より柔軟な視点で経営を見直すことができるようになるでしょう。
さいごに、中小企業の経営者のクセを直すか直さないかは、そのクセが会社に与える影響によって判断することが大切ですね。クセが会社の個性を引き立て、独自の魅力となっている場合は、そのクセを活かしながら経営を続けることが望ましいと思います。しかし、業績や社員の成長を阻害する場合は、柔軟性を持って改善を試みるべきです。
最終的には、経営者自身が「変わるべきかどうか」を判断し、必要な場合は変わるための努力を惜しまないことが、企業の成長につながるのです。なかなか経営者自身で判断できないことも多く、社内のスタッフが注意できないし聞く耳を持たないのが経営者(笑)なので、客観的な立場でアドバイスできる私たちのようなコンサルティング会社の必要性を、この記事を書きながら改めて考えさせられました。
参考にしてみてくださ~い。